社保協ニュース : No.137 – 2013.7.10

愛知社保協総会開催

第33期総会

愛知県社会保障推進協議会第33期総会を、6月29日(土)午後、保険医協会伏見会議室にて開催。記念講演は56名が、総会参加者総数57名、のべ113名が参加しました。
記念講演は、「生活保護をめぐる現状と課題」日本福祉大学 山田壮志郎准教授。
安倍政権発足後、生活扶助基準が8月から4.78%引き下げられることになった。生活扶助を最高10%引き下げ、3年間で670億円(6・5%)もの削減計画となっている。国会で生活保護の水際作戦強化の改悪法案が廃案になったが、保護基準の引き下げは受給者の生活を直撃し、受給がいっそう難しくなり、最賃や就学援助、住民税や就学援助など多大な市民に影響を与える。現実をみれば喜んでいられない状況にある。
貧困問題は、2009年の年越し派遣村から2010年に公設派遣村ができ盛り上がりを見せたが、受給者が急増するなかで、某タレントの生活保護バッシング報道から生活保護への攻撃が強まるなど流れが変わってきている。
某タレントのケースは不正受給とは言えずレアケース。生活保護の不正受給は3万5千件、全保護世帯のわずか2.3パーセント。不正受給額は173億円と全体のわずか0.5パーセント。98パーセントの被保護世帯、99パーセントの保護費は適正で、しかも不正受給の44パーセントは就労収入の無申告。28パーセントは年金収入の無申告である。全国で警察官OBを配置する動きだが、援助するケースワーカーの増員こそが必要である。
厚労省が生活保護基準の引き下げの根拠とした消費者物価指数(CPI)の下落率は4.78%が、テレビやパソコンなどの電化製品の影響が大きく、実際の生活保護受給者の生活実態を正しく反映していない。我々の試算では2%以下であった。
生活保護受給者が過去最高、支給額が過去最高などニュースが出るが「生活保護受給者が増えている」のではなく「生活保護を受給しなければならないほど生活に困窮した人が増えている」と捉えることが大切。また「生活保護費を減らす」のではなく「貧困層を減らす」ことを重視すべきと考える。
また、そもそも生活保護を受けるべき人が少ないこと。捕捉率が3割以下と低いことを深刻に受け止めることが大切。日本人は「政府が貧困者の援助することに否定」する割合が自己責任の国アメリカよりも多くなっている。貧困者に耳を傾けて、貧困層に対する援助への理解を広げていくことが大切である。
(講演要旨・文責 社保協事務局)

2013年6月29日愛知県社会保障推進協議会第33期総会決議

再登場した安倍自公政権は、「アベノミクス」の経済政策を打ち出し、見かけの「好景気」によるバブル再来の状況をつくりだしています。また「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指し、「正社員革命」として「解雇の自由化」、「限定社員制度」など、現在でも深刻な格差と貧困を一層広げる政策を強行しようとしています。 そして見かけの「景気回復」を口実に、昨年8月に民自公3党合意で強行した社会保障改革「推進」法を盾として、来年4月から消費税大増税を実施に移し、生活保護と介護保険のさらなる改悪を突破口に、年金の支給年齢の引き上げなど、社会保障制度全般にわたる大改悪に走ろうとしています。

社会保障改革「推進法」は、小泉「改革」で積み残しとなった社会保障切り捨ての諸課題が、後期高齢者医療廃止の国民的運動に見られたように、国民の抵抗を受けてこれ以上前に進めない状況に追い込まれ、これに対して国民に自立自助を押しつけ、「暴力的」に改悪の道を開こうと強行されたものでもあります。

そのトップバッターが生活保護の改悪でした。保護基準引き下げは予算審議の中で可決され通達での実施となっていますが、親族の調査などを行い「水際」で受給を抑制しようとすることを法律で決めることについては、通常国会最終日に安倍首相の問責決議が参議院で可決され、法案を廃案に追い込むことが出来ました。

わが国の社会保障発達の歴史を、「近隣の助け合い」=「封建制社会」まで引き戻す、この悪法が廃案となったことには、「暴力的」に改悪の道を開こうとすれば、そこには「国民の願い」に反するという「決定的弱点」を抱えており、小泉「改革」反対以降粘り強く闘い抜いてきた、私たちの必然的な勝利であります。

この一年間私たちは、愛知県の「福祉医療制度」の見直しに対して、大村知事に「一部負担金の導入はしない」見送りを明言させました。また、名古屋市にたいしても、「保育料値上げ」をストップさせ、「65歳からの敬老パス見直し」についても、河村市長に「継続・拡大」を公言させるところまで追い込んでいます。

社会保障改革「推進法」とその具体化としての個別の社会保障改悪について、それぞれが「暴力的側面」と同時に「決定的弱点」を持つものとして把握し、私たちの国と自治体に対する社会保障改善の運動がこれと対峙したものであり、「闘えば必ず勝つ」ことを確信し、今日を契機に新たな運動に踏み出しましょう。

社会保障改革「推進法」の具体化を委嘱された社会保障改革「国民会議」の任期は8月21日までです。「国民会議」の報告がどのような内容を国民に押しつけても、社会保障改革「推進法」は実質的にはその日までの時限立法に過ぎなかったとなるよう、社会保障を守り改善する運動を強めましょう。
そのためにはなによりも7月21日の参議院選挙で、安倍自公政権と真に対決できる勢力の、国会での躍進を勝ち取りましょう。以上決議する。

2013年6月29日

愛知県社会保障推進協議会第33期総会

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