愛知県の福祉医療制度見直し「一部負担・所得制限」導入に抗議する(2013年1月28日)

2013年1月28日

愛知県知事 大村秀章 様

愛知県社会保障推進協議会
議長  森谷 光夫

 2013年1月24日新聞報道によれば、「愛知県は、原則として無料になっている子どもや障がい者、母子父子家庭、後期高齢者の医療に、一部負担金と助成の所得制限を導入する方針を固め、制度見直しの素案を県議会の各会派に示した」と報道した。また、「負担金は2014年度から、所得制限は17年度からの開始を目指す」という。負担金については、①通院1回300円・入院1日100円、②通院1回500円・入院1日500円、③通院・入院とも1カ月1医療機関で500円という3つの案が示されている。所得制限は、他県と基準をそろえる計画。今後、素案をもとに、市町村や医師会などの関係団体と制度見直しの協議を進め、早ければ4月にも見直し案をまとめ、県民からの意見を求めたうえで最終案がつくられる。

 愛知県の福祉医療制度は、子ども・障がい者・母子父子家庭・高齢者の医療費自己負担を無料にする制度で、全国的に見ても非常に優れた制度であり、145万人が対象となる、いのちと健康をまもる上でかけがえのない制度である。なかでも、子ども医療費助成制度は111万人を対象とし、2008年4月から、通院で義務教育就学前、入院で中学校卒業まで無料対象を拡大した。この対象範囲は、全国の都道府県でも高い水準であり、長年の運動の成果である。すでに、すべての市町村が県基準よりも対象を広げており、うち入院・通院とも「中学校卒業まで無料」になっているのは41市町村(76%)である。他の福祉医療制度とともに、県の拡充こそ求められている。

 愛知県社会保障推進協議会は、県が「行革大綱に係る重点改革プログラム」における見直し対象とされた以降、愛知自治体キャラバン行動を通じ、最重点として「存続拡充を求め」全自治体と懇談してきた。市町村議会で採択された意見書は合計29市町村(54%)へと広がっている。意見書を採択した市町村の多くは、「縮小せず、存続」の意向であり、県に対しても継続的取扱いを望み、「拙速な制度改定は避けるべき」などの声が届いている。また、県知事あての「個人署名」は8万余、県民諸団体の賛同は300に及び、2月5日に提出の予定である。

 国では、消費税増税と一体改革の社会保障制度改革による「制度改悪」が進められ、国民負担はいっそう重くのしかかる。憲法と地方自治法の立場から、県民生活を守る施策充実こそ県に求められている。県の「一部負担および所得制限」導入提案は逆行するものであり、抗議し中止を求めるものである。

以上

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