地域における高齢者の暮らしと介護保障のあり方
―社会保障・社会福祉関係者の果たす役割-
第18回愛知社会保障学校 74名が参加し学ぶ
2月5日日曜日午後1時から、愛知労働会館ホールで第18回社会保障学校が開催されました。愛労連と愛知社保協の共催です。
「地域における高齢者の暮らしと介護保障のあり方―社会保障・社会福祉関係者の果たす役割-」と題して、明治学院大学の河合克義教授による記念講演は大変好評でした。
2010年1月NHKが「無縁社会-“無縁死”3万2千人の衝撃―」を、同年10月には「日本の、これから-どうすれば変えられますか?無縁社会」を放映し、波紋が広がりました。以降、NHKスペシャル老人漂流社会は、2014年9月「“老後破産”の現実」、2015年8月「親子共倒れを防げ」、2016年4月「団塊世代 忍び寄る“老後破産”」と回を重ね、毎回好評を得、話題となっていますこれらの放映にかかわり、政府や行政の関係者にも問題提起を行っている講師の活動、時折TV番組の様子や高齢者の事例を映像で紹介し、参加者の注目度が強まります。「孤独死の急増」、「高齢者の社会的孤立問題の背景」の実態と分析についても言及されました。
具体的には、「高齢者の生活と貧困・孤立」の実態を浮かび上がらせた東京港区と山形県の調査結果を示しながら、生活保護ライン以下の生活状態にある高齢者がいずれも56%であること。
また、「地域における高齢者の暮らしと介護保障のあり方」について、「制度が切り取る範囲と現実」として介護保険制度の基本的仕組みが、「声を上げない高齢者の現実」を反映しない。介護保険がカバーする範囲は、「介護保険事業状況報告の概要」から「要介護(要支援)認定者数認定率18.5%」であり、その上「サービス利用者は8割」のため利用率は14.8%に過ぎない。したがって、介護問題と生活問題にとって、社会保障・社会福祉関係者の果たす役割が、①声を上げない人々に寄り添うこと、②専門機関、団体との連携、③国家責任と自治体の責務を求めることと強調されました。調査の持つ力、説得力を改めて痛感する講演でもありました。
愛知自治体キャラバンのまとめの報告を、愛知社保協事務局長小松民子が行いました。介護や国保をはじめ社会保障制度が大きく変わろうとしている時期の自治体キャラバンの役割は重要です。「2016年まとめ」の冊子を紹介しながら、住民の要望を自治体に届け、実態調査と、自治体との懇談で現状についての理解を深め改善を求めた2016年の特徴点と、2017年への課題を紹介し、地域での事後報告集会や事前学習の開催を呼びかけました。
各分野の報告、「医療・介護の改悪について」(武田修三・愛知民医連事務局長)、「国民健康保険の課題」(日下紀生・保険医協会事務局次長)、「地域医療は?」(西尾美沙子・愛知県医労連副委員長)、「保育・子育て」(越須賀舞・福祉保育労副委員長)、「障害者・児の課題」(山口敏夫・あいち障害者相談センター)、「『働き方改革』について」(知崎広二・愛労連事務局長)、「生活保護・年金引下げの取り消しを求める裁判の動向について」(森弘典・弁護士)の7件です。
以上、短時間に内容も盛り沢山な愛知社保学校。学びを力に、愛知県下に運動を広げる決意を新たにすることができた学びの場でした。
※「2016愛知自治体キャラバンまとめ冊子」(1冊300円)
冊子購入希望の方は、愛知社保協(FAX052-889-6931 TEL052-889-6921 E-mail:syahokyo@airoren.gr.jp)まで、氏名・送付先住所・連絡先・注文部数をお知らせください。
シンポジウム「政治の責任で、人間らしい生活の保障を」
96名の参加で、盛況でした。
岩城弁護士は、冒頭しか参加できないとのことで、現場実態を書いた資料を渡し、「人間らしい生活の保障の為に、社会保障がしっかりしていなくてはならない。社会保障がしっかりあるためには、平和でなくてはいけない!憲法が息づく社会を!」とご挨拶を頂きました。
シンポジウムは、山田壮史郎さんの司会のもと、助言者として近藤直子先生からコメント。
医療・介護、高齢、生活保護、若者、労働、福祉・保育、子どもの貧困、の7つに区切ってシンポジストが現場実態と人間らしい生活の保障を求めるための提言を語りました。福祉保育の現場では、国の補助や基準が低く、働く者が足りなすぎて、利用する障害児者や保育の子どもたち保護者たちの生活・権利保障が出来ていない。そんな実態のあれこれを福保労東海地本の薄委員長が発言しました。
政治家の方々のご発言の前に、駆けつけてくれた宇都宮健児さんが、ご挨拶を下さいました。
今は、一億総貧困社会だ…貧困そのものが人権侵害。社会保障は権利だともっと広げていくべき。権利としての保育。ドイツでは待機児童は国の責任でなくした。返さなくて良い奨学金も。憲法変えなくても教育の無償化は可能!そして、所得税を75%に戻せばいい。今は45%。一億円の財産があるひとほど分離課税でたった20%ほどの税金…。財源を生み出して充実した福祉をやるのが政治の責任。政治を変えていくためには、どうするか…→選挙です。社会保障を争点にしていくことです。野党が生活保障の総掛かり行動を!
多くの国会議員さん、政党の方が来て、シンポを聞いたうえで、発言してくださいました。
近藤昭一さん:もともと政治の役割は、格差是正。政治は頼れる・信頼できなければならない。なにかというと財源が無いから消費税を上げなくてはいかんと言われそう思い込まされているけれど、法人税を下げてきた。所得税率も下げてきた。元に戻せばいい。社会は助け合うもの。税の再分配をしっかりさせていくことが必要!
牧義夫さん:政治の責任でこれらの実態をしっかりふまえ政策に反映させていく。今、弱い人がより弱い人にあたるような社会に成り下がっている。分断されている。教育の無償化は4兆円でできる。企業の内部留保は400兆円ある!
本村伸子さん:この20年間で日本社会の変化はどうだったか?!貧困層は拡大。税金の使い方が間違っている。住宅の家賃補助を憲法に基づいて保障させるように要求してきた。少し実った。自治体がやるとなれば、国自治体で2万ずつの補助をすると言うもの。しょぼいけど…。辺野古の新基地建設などという住民も望んでいないことに予算をつけるのではなく、必要なことにもっと予算を使う政治にしたい。そのためには野党共闘!!!
社民党平山さん:日本の中に植民地があるのかと思うような貧困。実際には選挙協力が必要。野党第一党の民進党さんの指導の下、やりたい。
自由党愛知県連:アベ政治を倒す!協力!最後に、コーディネーターの山田壮史郎さん、共同行動実行委員会の池住さんから「素晴らしい意義ある集会だった」「今後に繋げていきましょう」と締めくりました。
2月15日第8回口頭弁論65名の傍聴者
報告集会、原告・弁護団総勢85名が意思統一!
昼休み宣伝、20名が参加し訴え
2月15日、生活保護基準引き下げ処分取消等請求裁判が名古屋地 裁にて午後2時半から行われ、支援者 63 名が大法廷を埋め尽くしま した。 裁判前のお昼には地下鉄の市役所駅周辺で、原告をはじめ、さくらんぼの会、反貧困ネットワークあいち、生健会、年金者組合、民医連 など約20名の支援者で裁判支援を呼びかける宣伝を行いました。
2つの意見陳述(要旨)、弁護団から主張
口頭弁論での弁護団の主張(要旨) 原告弁護団からの口頭弁論要旨は次のとおりです。①憲法25条は生存権を「権利」として保障し、国に生存権 を実現すべき義務を課している。国の「裁量」には憲法か らの制約があり、厚生労働大臣が自由に何でも決定する ことはできない。②生活保護基準改定の判断に過誤、欠落がある場合は生保 法8条1項、2項、憲法25条違反となる。 ③判断の過誤、欠落がどうなのかを判断するには、生活保護基準設定が適切な方法で事実調査されたか、生保 法8条2項の考慮要素(年齢、性別、世帯構成、所在地、保護の種類に応じた必要な事情)、その考慮が政 策的な裁量ではなく専門技術的な考察であったか、に留意すべき。④生活保護基準引き下げ判断の資料はすべて国が保持しており、判断に不合理な点がないことが主張立証されないかぎり、不合理な点があると推認されることになる。
原告のきびしい生活と思い、会場に染み渡る 裁判には原告の方も法廷に立ち、毎日おかずを1品だけ作り昼と夜に食べているなど、きびしい生活実態を 明らかにされ、「居酒屋やお茶に誘われてもお金を払わなければならないのでできていない。お金がないこと で人間関係が切れていってしまうことに、言いしれない寂しさを感じている」「このままでは生きる楽しみすら失ってしまい、病気を持って働けない人は死んでいけと言われているようにすら感じることがある」と、悲痛な思いを語られました。
裁判終了後の「裁判報告集会」は、支援者68名と原告・弁護団で会場は満席、弁護団からの主張点の解説、 参加者の意見、原告の決意表明が行われ、必ず裁判を勝利していこうと決意を固めあいました。
※次回裁判は、5月25日(木)2時30分・名古屋地裁大法廷です。 支援のご参加をぜひ、お願いします。 (豊橋生健会Facebookより)