2006年 愛知自治体キャラバンのまとめ
2006年12月/愛知自治体キャラバン実行委員会
自治体キャラバンの取り組み
1.名 称
「介護・福祉・医療など社会保障の充実とくらしを守る愛知自治体キャラバン」
2.主 催
愛知自治体キャラバン実行委員会
≪事務局団体≫
愛知県社会保障推進協議会
愛知県労働組合総連合
日本自治体労働組合総連合愛知県本部
新日本婦人の会愛知県本部
3.日 程
2006年10月17日(火)~20日(金)
※西尾市、津島市、幸田町は当局側の関係で24日(火)に実施
4.要請相手とコース日程
愛知県内62市町村を5コースで実施
コース | 主な地域 | 責任団体 | 宣伝カー |
第1 | 尾西・海部
一宮・稲沢 |
年金者組合 名古屋市職労 一宮社保協 |
名古屋市職労 民医連 |
第2 | 尾北・尾東 尾中 岩倉 |
自治労連
一宮社保協 |
自治労連
民医連 |
第3 | 知多・尾東 | 社保協 | 保険医協会 |
第4 | 西三河 | 愛労連 新婦人 |
愛労連 |
第5 | 東三河 | 自治労連 東三河労連 事務局4団体 |
豊橋市職労 |
※愛知県と名古屋市は別途懇談を実施。
5.参加状況
( )内は昨年参加者数
① 各コースの参加者総数は延べ合計880人(823人)の参加であった。そのうち共産党議員は88人(96人)が参加した。音羽町はアンケートのみ依頼。
② 自治体側の参加者は546人(548人)となった。首長2人、助役6人、21市町村で部長26人参加。他は主に、福祉・保健・医療の課長・次長など担当者が対応した。
③ 各団体の参加状況は、延べ参加数で多い順に並べると次の表の通り。
団体名 | 延べ人員 |
自治労連(名古屋市職労含む) | 169(164) |
年金者組合 | 161(112) |
保険医協会 | 97(111) |
新婦人 | 85(75) |
愛労連(医労連・地域労連含む) | 79(75) |
愛商連 | 72(70) |
民医連 | 60(81) |
※( )内は昨年参加者数
・昨年同様、年金者組合や地域労連はじめ新婦人、愛商連など地域で運動している団体からの参加が定着してきている。
・東三河山間部は事務局団体と東三河労連が協力し取り組んだ。
6.事前学習懇談会の取り組み
事前学習会は、陳情事項の学習や地域の具体的要求の検討をするため各地域で開催を目標に取り組んだ。結果、昨年の14地域から今年は15地域で開催でき、190人(昨年131人)が参加した。
今後も開催地域を増やし、キャラバン行動以外でも学習会や宣伝行動など共同の取り組みが進められるようにしていきたい。
開催地域(開催地) | 開催日 | 参加者・団体数 |
東三河(豊 橋) | 10/13 | 18人・9団体 |
西三河(知 立) (豊 田) (西 尾) (岡 崎) |
10/ 4 10/13 10/11 10/11 |
7人・6団体 6人・5団体 15人・6団体 10人・6団体 |
知 多(半 田) (東 海) |
10/ 6 10/ 5 |
10人・5団体 12人・5団体 |
尾張東(瀬 戸) (豊 明) |
9/17 10/ 3 |
17人・9団体 7人・4団体 |
尾張中部(春日井) | 10/ 7 | 21人・8団体 |
尾張北(江 南) (岩 倉) (犬 山) |
10/ 3 10/ 5 9/19 |
5人・3団体 11人・6団体 14人・2団体 |
尾張西(一 宮) | 10/ 4 | 9人・6団体 |
海部津島(津 島) | 10/ 4 | 28人・4団体 |
合計 | - | 15地域・190人 |
7.懇談の重点項目とアンケート・回答
- 1時間という限られた懇談時間の中で、有効に懇談できるように重点項目を決めた。また、公的年金等控除の縮小や老年者控除の廃止による国民健康保険や介護保険料など雪だるま式の負担増。「改正」介護保険制度による05年10月から介護保険施設などの居住費や食費の全額自己負担、06年4月からの軽度の介護認定者からの介護用ベッドの取り上げや医療保険制度の改悪や障害者自立支援法など社会保障の連続改悪のなかで「住民の福祉の増進」を行財政の基本にすえた運営を堅持するよう求めた。
また、住民が安心して暮らしていける自治体の施策の充実、特に「改正」介護保険法実施にともなう負担増の独自減免や新たな介護予防実施にともなう市町村の責任ある対応や国民健康保険などの改善を求めた。
税制改悪にともなう負担増に対する軽減措置や生活保護行政や就学援助制度の拡充を新たな要請に加えるとともに、昨年と同様に、財源が厳しい中でも、市町村がその気になれば実現可能な住宅改修費の受領委任払い制度などとあわせ福祉給付金の自動払いなど10項目をかかげ、実施を求めたのが特徴である。 - 陳情や要請項目についてのアンケート・文書回答や資料要請なども行い、アンケートはすべての市町村、文書回答は昨年の94%に対し、今回は97%の市町村から回答が寄せられた。(未回答は豊田市と三好町のみ)
- 国と愛知県に対しての意見書採択状況は、別記。
8.要望項目に対する到達点
(1) 安心できる介護保障について
05年10月からの介護保険施設での居住費や食費の全額自己負担(所得による軽減あり)や06年4月から介護予防などが実施された。
この間の調査で①介護保険実施前と比べ低所得階層の介護サービスの利用抑制がすすんでいる、②介護3施設が入所者を選ぶ「選択」が起こっている、③要介護認定が利用者不在のシステムになっている、④「低介護報酬」が介護に関わる労働者の劣悪な労働条件を生み、同時に質の低下ももたらしている、⑤公的責任があいまいにされ高齢者福祉の「空洞化」がすすんでいる――と指摘したが、実態はいっそう深刻な状態になっている。
この間の取り組みでの到達点と今後の課題は以下通りである。
① 介護保険料について
06年4月から県内平均で月額2,900円から3,700円へと32%(全国24%)も引き上げられた。
税制の改悪で収入が増えなくても高齢者の6人に1人の保険料段階が上がっただけでなく国保保険料(税)にも連動し、数倍から10倍もの引き上げは過酷なものになっている。
これ以上の引き上げをさせないことと併せて減免制度の実施と拡充を求めた。
国の保険料段階の改定に伴い、名古屋市、新城市、旧師勝町の3市町が、独自減免を廃止した。減免実施自治体は、昨年の37市町村(54%)から30市町村(48%)に減少した。
国の負担をせめて「20%+調整金5%」から「25%+調整金5%」に早急に改善させることが必要である。
② 利用料減免について
利用料の単独減免は、国の訪問介護特別対策廃止とともに独自の拡大部分が廃止されるなかで尾張旭市が新たに実施し、昨年の24市町村から23市町村になった。実施市町村の割合は合併で市町村が減ったため35%から37%になった。
なお、高額介護サービス費の払い戻し手続きの簡素化は、厚労省の指導もあり、未実施自治体は、豊明市、田原市、設楽町、豊根村の4市町村のみとなった。
③ 制度の実績について
減免実施の市町村の対象条件が厳しく、対象者はごく少数になっている実態は改善されていない。04年から制度の実績を調査した結果、制度があってもその活用の実積に格差があることが明らかになった。
そのなかで、一宮市の保険料の減免制度は預金や不動産の制限なく申請不要で本人所得33万円以下までを対象に新第1段階と第3段階について2割減免を実施した。制度があっても対象の枠が狭く実績が少数のなかで、実績も全実績の8割以上になっている。
豊橋市の利用料の減免制度とあわせ他の市町村に広げていくことが必要である。
また、制度の対象者にその内容が知らされ、活用できるようにしていくこと、国と市町村の減免制度をせめて国民健康保険並みに改善させることが必要である。
④ 食費・居住費の自己負担化、介護用ベッドの取り上げなど
10月から実施の介護保険施設の居住費や食費の全面自己負担化に対する独自の減免実施は、補足給付のない通所サービスも含めて実施されていない。負担増による退所の実態をつかみ、独自の減免を実施させるとりくみが重要である。
また、要支援、要介護1に対する介護用ベッドなどの貸与について、4月1日時点で13,777件給付されていたが、9月30日までに給付が中止された件数はアンケートで返事のあった34市町村で1,589件となっている。車いすは、6,959件のうち338件の取り上げになっている。実態を把握していない自治体もある。介護用ベッドを利用しないと「自力では起き上がりが困難」である利用者の声など、実態を知らせ継続して利用できるようにしていくことが重要である。
⑤ 地域包括支援センターについて
市町村が責任をもって設置し、今後の総合的な介護予防を進めていく地域の拠点となる地域包括支援センターの設置は、164カ所設置されたなかで直営が19カ所となっている。
高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるようにしていくために、介護予防のケアプラン作成のみに終わることなく、委託でも市町村が責任を持って、せめて中学校区毎の設置と専門職の配置が必要である。
⑥ 特別養護老人ホーム等について
特別養護老人ホーム、老健施設建設のテンポは遅く、入所待機者は増え、なかなか入所できない。待機者の実態も調査せず成り行き任せの市町村もある。
また、利用者の介護度や経済状況、病状などによって「施設から選択」され、「利用者が選択」できない実態がうまれている。とくに、居住費・食費の全額自己負担化(有料老人ホーム化)のなかで経済的状況によって利用が制限される事態が進行している。国が予定されている補助金を削減し、整備計画が足踏みしているなかで、さらに介護・医療療養病床の縮小・廃止の改悪で、有料老人ホームなど経済的にゆとりがある階層しか入所できない施設の建設が一段と進んでいる。介護・医療療養病床の廃止・縮小をやめさせ、特別養護老人ホーム、老人保健施設など介護保険3施設を増設し、誰でも安心して入所できるようにすることが必要である。
⑦ 住宅改修の受領委任払いについて
住宅改修の受領委任払いの実施については、昨年の10市町村から18市町村で実施され、13市町村で検討されている。キャラバンでの要請が反映された項目である。
⑧ 地域支援事業など高齢者福祉施策
- 総合的な介護予防推進を目的に介護予防・地域支え合い事業など高齢者福祉の施策が「改正」介護保険法によって「地域支援事業」などに統合された。
- 「配食サービス」(p.39参照)も自立支援事業に変わり、「自立支援につながっているか」などの調査実施や施設での食事の自己負担化のなかで配食サービスの負担増の動きがはじまり、14市町村で利用者負担が値上げされた。配食サービスは61市町村(毎日実施15市町村)が実施し、未実施は七宝町と南知多町のみとなった。
- 「ゴミ出し援助」(p.42参照)は、新たに3市町で実施され、合計24市町村(38%)に広がった。
- 県が廃止した「介護手当」(p.44参照)は、新たに6市で新設され、合計37市町村(59%)になった。
- 「住宅改修独自助成」(p.48参照)は、5市町増加し、合計34市町村(54%)になった。
- 05年から調査した「巡回バスなど」(p.51参照)は36市町村(57%)で実施され、無料が17市町村で最高は200円となっている。「宅老所や街角サロンなどへの助成」(p.52参照)も17市町村(27%)で実施され、介護予防が日常の暮らしのなかで進められ高齢者がいきいきと暮らせるようこれらの施策をより充実させていくことも必要である。
- 老人保健事業の健診など従来の保健事業は高齢者医療制度の創設がらみで先送りされたが、予防給付の名で軽度の要介護者の利用を制限させることなく、現行の自治体の施策を守らせ、さらに高齢者の生活や介護支援、介護予防など高齢者福祉の充実にむけて具体的な取り組みの強化が求められている。
⑨障害者控除の認定
障害者控除認定書の発行は、2004年の5,114人から2005年の7,155人に増加した。
知立市は、すべての認定対象者(1,070人)に「障害者控除認定書」を送付するという優れた対応がされた。また、津島市・稲沢市などでは、介護認定者に「障害者控除対象者認定申請書」用紙を送付し、申請を促して大きな成果を得ている。
(2) 国の税制改革に伴う軽減措置について
国の税制改革にともない新たに課税になった世帯は、回答のあった20市町村の合計で31,555世帯あり、回答のなかった市町村と合わせると課税世帯は膨大な数となる。
住民税の増加見込総額は、回答のあった59市町村の合計で約238億円も増加している。しかし、自治体独自の軽減措置は実施されていない。
改悪を元に戻させる運動が求められとともに、その使い道にも目を配る必要がある。
(3) 高齢者医療の充実について
①福祉給付金
福祉給付金の拡大では、10市町村で対象年齢の拡大が行われ、21市町村で「入院時の食事療養費の2分の1補助」など愛知県基準から要件を拡大している。
自動払いは、新たに8市町で実施し、合計41市町村(65%)で実施された。現物給付(窓口無料)の名古屋市を含めると、実施自治体は3分の2へと広がった。さらに9市町で実施の検討がされている。
②現役並み所得者の取り扱い
2006年10月から70歳以上の高齢者の医療は「現役なみ所得者」が2割から3割負担となったが、申請すれば1割負担に戻る対象者が約2割(推計15,000人)いることがわかった。
1割負担に戻る対象者は市町村で把握されており、8市町では既に自動適用している。すべての市町村で自動払いを行うなど、申請漏れのないような対応が必要である。
(4) 子育て支援について
①小学校卒業までの医療費無料制度
乳幼児医療費助成制度は、小学校卒業までの無料化を求めた。昨年のキャラバン要請以降、19市町で対象拡大が実現した。
その結果、県内市町村の実施状況は、入院は全自治体が県基準より拡大、通院は61市町村(97%)が県基準より拡大し、県基準にとどまっているのは美浜町と南知多町のみとなった。
「6歳未満」以上の自治体は入院で100%、通院で60市町村(95%)となった。県制度を今すぐ拡大すべきである。
②妊産婦無料健診の拡大
妊産婦健診の無料回数の拡大は、大府市が新たに実施し、13市町村(21%)に広がった。江南市は、産前10回、産後2回の合計12回の無料健診を予定している。
③就学援助制度の拡充
今回、就学援助の拡大を求め、実態をつかんだ。格差社会が広がる中で就学援助制度の広報や金額、支給方法、対象の拡大など今後の改善が必要である。
(5) 国保の改善について
①国保保険料(税)について
国保保険料(税)の徴収が強められているなかで「民間委託」の計画はなかったが、「国民健康保険は相互扶助の考え方で運営」「国民健康保険が相互扶助で成り立つ社会保険制度」などの回答があった。
国民健康保険は憲法25条に基づく社会保障の柱であり、国民健康保険法のどこにも「相互扶助」の文言はない。法に基づかない考え方は改めさせていく必要がある。
保険料(税)の滞納者が増えるなかで、払える保険料(税)にしていくために、実態に即した保険料(税)の減免制度の拡充が必要である。
②資格証明書・短期保険証
資格証明書の発行だけでなく、短期保険証発行の期間や制裁措置についても調査した。
資格証明書の発行は、愛知県合計で2,328件と、他府県と比べてかなり低い数に抑えている。この間の運動で到達した「面談なしには発行させない」などを堅持させ、機械的な発行を許さない取り組みが引き続き重要である。
短期保険証の発行は、56,203件から51,281件になった。有効期間は1カ月が15市町村で3,000件、3カ月までが27市町村で13,263件もあった。
滞納者の差し押さえ件数は2,093件、12億3079万円になっている。「悪質」のみの差し押さえなのか、きちんとした実態調査が必要だ。
③一部負担金減免
一部負担金の減免制度は、新たに11市町で実施され、合計34市町(54%)となったが、未だに未整備のままの自治体が29市町村(46%)も残っているのは問題である。
2005年度の減免実績は、3市15件のみに留まっている。申請の促進と制度の拡充が必要である。
④高額療養費・出産育児一時金の受領委任払い
高額療養費の受領委任払いはこの間の運動もあり、新たに4市町で実施され、21市町(33%)へと広がった。
出産育児一時金の受領委任払いも、新たに3市増えて51市町村の実施となり、実施割合は8割を超えた。
(6) 障害者施策の充実について
①障害者自立支援法への対応
障害者自立支援法の本格実施に伴い、障害者への応益負担がはじまるとともに、市町村実施の事業(移動支援・手話などコミュニケーション支援・地域活動支援センターなど)がはじまった。この間、国に「応益負担の廃止」「法の見直し」、市町村に応益負担の軽減措置を求めてきた。
障害者自立支援法による国の応益負担分の軽減は、豊橋市、碧南市、江南市の3市のみが実施している。障害乳幼児への利用料軽減は7市1町、検討1市、地域生活支援事業のうち利用料負担の大きい移動支援などの利用料軽減は17市5町で実施。負担軽減策を設けない自治体は6市13町村、このうち4町村は「財政事情」を理由としてあげている。
軽減策内容では、「負担額の合算」を行うところが多いが、内容は市町村ごとに異なり、市町村での差が激しくなっている。
東京や京都、神奈川と比べると軽減自治体が極端に少ない。これは、県が「利用者負担は国が行うべき問題」という対応で負担軽減策を打ち出していないことが影響している。
国や愛知県が地域支援事業を市町村まかせにした結果、市町村格差が大きくなっている。
②精神障害者の医療費助成
精神障害者への医療費助成制度は、自立支援法の精神通院医療対象者について1割負担分を助成している市町村は55市町村(87%)ある。対象範囲の格差はあるが精神疾患に限らずすべての疾患を助成している市町村は28市町村(44%)になっている。医療費助成を全くおこなっていないのは甚目寺町のみである。
また、名古屋市は、国保の精神疾病医療費助成を廃止し、現行制度では、助成対象を手帳1級所持者に限定しており、他自治体と比べ、医療費助成範囲がきわめて狭い。
愛知県に対し、精神障害者の医療費助成を求める意見書が多くの自治体から提出されており、県制度の実施は緊急の課題となっている。
(7)健診事業について
①基本健診・がん検診
すべての自治体が、基本健診を集団・個別医療機関委託のどちらかで実施している。しかし、通年実施(6カ月以上実施含む)の自治体は、基本健診で12市町村である。基本健診を無料実施しているのは17市町村である。また、各種がん検診は、項目ごとに実施のばらつきがあり、すべての自治体ですべての検診を実施する必要がある。
②歯周疾患検診・前立腺がん検診
歯周疾患検診の年齢基準が国基準に満たない自治体が3市町村。前立腺がん検診を実施していないのが、名古屋市をはじめ6市町村残っているが、早期の実施が望まれる。
9.今後の課題
(1) 自治体を住民のいのちと暮らし守る砦に~これまでの貴重な成果を踏まえ~
国の社会保障の連続改悪が進められ、これまでの市町村の施策が「財源がない」の理由で、いっそうの住民負担増がおこなわれている。すでに老人福祉施設や保育所、児童福祉施設など公的施設の民営化だけでなく、2008年の後期高齢者医療制度創設に向けた準備や、医療費適正化を目指した県の計画の検討が始まっている。住民のいのち、くらしを守る本来の仕事が軽んじられ、自治体職員の意欲までなくさせられている。
「住民福祉の増進」の立場に立って施策の拡充にむけ、自治体が国の悪政に対し住民のいのちと暮らしを守る砦となるよう、「草の根」からの運動強化がいっそう求められている。
就学前までの医療費無料化、介護保険料・利用料減免の実施、福祉給付金自動払い・高額療養費受領委任払いの前進など、この間の自治体キャラバン要請の貴重な成果を地域住民に知らせる活動が必要である。
(2) 地域ごとの運動課題を明確にした運動を
国保改善や高齢者福祉など地域ごとの中心課題や「水準の引き上げ」を明らかにすること。また「改正」介護保険制度実施のなかで保険料や食事代など負担軽減や介護用ベッドなど福祉用具の貸与の取り組みとあわせ、現行のサービスを後退させないとりくみ。地域包括支援センターが地域における高齢者の生活を総合的に支える拠点となるよう地域の実態に基づいて具体的に分析・検討、自らも参加するなど地域での継続的な取り組みを強化していくために、①キャラバンの事前学習会をこれまで以上に多くの地域で開催していくこと、②事前学習会にあわせて各自治体のアンケート回答を準備をする、③重点陳情事項をできるだけ絞り込む――などの改善をしていくことが求められる。
(3) 国の悪政に地域から反撃のたたかいを
政府の構造改革によって税制をはじめ社会保障などの改悪だけでなく、不安定雇用の拡大によって所得から健康、老後まで「格差社会」が広がっている。憲法改悪にむけ教育基本法の改悪も今国会で成立させようとしている。
増税と年金・医療・介護・障害者福祉などこの間の社会保障の大改悪の実施は、2008年にむけて進められている。改悪を跳ね返し、安心して暮らせる「まち」めざし、地域から大きなたたかいを広げていくことが必要である。
また、厳しい社会状況のなかで、国保保険料(税)・一部負担金減免申請や障害者控除認定書の発行など今ある制度について、「知って、知らせ、組織する」申請の運動を地域で広げ、さらに拡充する取り組みを進めていくことが重要である。