2012年10月 日
各市町村長 様
各市町村議会議長 様
(陳情団体) 愛知自治体キャラバン実行委員会
代表者 森谷 光夫
名古屋市熱田区沢下町9-7
労働会館東館3階301号
介護・福祉・医療など社会保障の施策拡充についての陳情書
【趣旨】
社会保障と税の一体改革の名のもとに、消費税の大増税と社会保障制度改革推進法により「自助、共助」を基本に「施し」としての「公助」に限定する、また国民の社会保険料負担の範囲内、あるいは消費税負担内の財源に限定するなど、憲法25条の「解釈改憲」として社会保障制度の根幹にかかわる大改悪が進められようとしています。また、愛知県は、子どもや障がい者等の福祉医療制度の見直しの検討を始めています。地域住民のいのちと健康、くらしを守るために、以下の事項について積極的な改善をお願いします。
【陳情事項】
【1】自治体の基本的あり方について
①憲法、地方自治法などをふまえて、住民1人1人が人間としての尊厳が保障され、健康で文化的で平和的な生活を送れるように自治体の施策を進めてください。
②「住民の福祉の増進を図る」という地方自治の目的に沿って、国の施策に左右されることなく、住民の利益への奉仕を最優先してください。
③地域主権改革関連法(第1次~第3次分)による義務付け・枠付への見直し(最低基準の見直し)につて、現行の基準を引き下げることなく住民サービス充実の視点から基準の向上をめざしてください。
④徴税を強める愛知県地方税滞納整理機構については、徴税は自治体の業務であることをふまえて、滞納整理機構に税の徴収事務を移管しないでください。参加していない市町村は今後とも参加しないでください。税滞納世帯の解決は、住民の実情をよくつかみ、相談にのるとともに、地方税法第15条(納税緩和措置)の適用をはじめ、分納・減免などで対応してください。
【2】福祉医療制度について
①福祉医療制度(子ども・障がい者・母子家庭等・高齢者医療)を縮小せず、存続・拡充してください。
②子どもの医療費無料制度を18歳年度末まで現物給付(窓口無料)で実施してください。
③障がい者医療の精神障がい者への補助対象を、一般の病気にも広げてください。
④後期高齢者医療対象者のうち住民税非課税世帯の医療費負担を無料にしてください。当面、福祉給付金(後期高齢者福祉医療費給付)制度の対象を拡大してください。
【3】以下の事項を実現し、市町村の福祉施策を充実してください。
1.安心できる介護保障について
(1)介護保険について
①介護保険料を引き下げてください。なお、介護保険料段階は、多段階に設定して、低所得段階の倍率を低く抑え、応能負担を強めてください。
②低所得者に対する介護保険料の減免制度を実施・拡充してください。
③低所得者に対する利用料の減免制度を実施・拡充してください。
④要支援者を介護保険からはずす「介護予防・日常生活支援総合事業」は実施せず、介護保険による介護予防サービス及び地域支援事業を充実してください。
⑤特別養護老人ホームや小規模多機能施設など施設・在宅サービスの基盤整備を早急におこなってください。基盤設備が円滑に進み、低所得者・医療依存度の高い利用者の入所が確保できるよう助成制度を設けてください。
⑥地域包括支援センターを中学校区毎に設置し、最低1カ所は市町村直営としてください。また委託されたセンターの職員が責任もって働き続けられるよう委託費を引き上げてください。
⑦介護・福祉労働者を確保するために、適正な賃金・労働条件および研修について、財政的な支援をしてください。
(2)高齢者福祉施策の充実について
①高齢者が地域でいきいきと生活するために、以下の施策を一般会計で実施してください。
ア.ひとり暮らし、高齢夫婦などへの安否確認や買い物など多様な生活支援の施策を充実してください。
イ.高齢者や障がい者などの外出支援のため地域巡回バスや福祉バスなどの施策を充実してください。
ウ.宅老所、街角サロンなどの高齢者の集まりの場への助成金制度を拡充し、高齢者がねたきりにならないよう多面的な福祉施策を実施してください。
エ.高齢期になっても住み続けることができるバリアフリーの高齢者住宅を公営で整備してください。
②配食サービスは、最低毎日1回は実施し、助成額を増やし自己負担額を引き下げてください。また、閉じこもりを予防するため会食(ふれあい)方式も含め実施してください。
(3)障がい者控除の認定について
①介護保険のすべての要介護認定者を障がい者控除の対象としてください。
②すべての要介護認定者に「障がい者控除対象者認定書」または「障がい者控除対象者認定申請書」を個別に送付してください。
2.高齢者医療などの充実について
①後期高齢者及び国保の高額医療・高額介護合算療養費は、該当者に個別に申請書を送付してください。
②後期高齢者医療制度の保険料滞納者に対する保険証の取り上げ・資格証明書の発行をしないでください。また、短期保険証は、発行しないでください。
3.子育て支援などについて
①妊産婦健診は、初回の健診はもちろんのこと、産前14回、産後1回を無料で受けられる恒久的な制度にしてください。
②就学援助制度の対象を生活保護基準額の少なくとも1.4倍以下の世帯までとしてください。申請の受付は、学校だけでなく市町村の窓口でも受け付け、申請手続きに民生委員の証明が必要な場合はなくしてください。また、年度途中でも申請できることを周知徹底してください。支給内容を拡充してください。
③義務教育は無償の立場から学校の給食費は無料にしてください。
④放射線被ばくから子どもを守るため、食の安全管理を万全にしてください。
⑤女性、特に妊産婦や高齢者に配慮した避難所に改善してください。
4.国保の改善について
①国民健康保険制度の都道府県単位化に反対してください。
②保険料(税)について
ア.これまで以上に一般会計からの繰り入れをおこない、保険料(税)の引き上げを行わず、減免制度を拡充し、払える保険料(税)に引き下げてください。
イ.18歳未満の子どもについては、均等割の対象としないでください。当面、一般会計による減免を実施してください。
ウ.前年所得が生活保護基準額の1.4倍以下の世帯に対する減免制度を設けてください。
エ.所得減少による減免要件は、「前年所得が1,000万円以下、かつ前年所得の10分の9以下」にしてください。
③保険料(税)滞納者への対応について
ア.資格証明書の発行をやめてください。とりわけ、18歳年度末までの子どものいる世帯、母子家庭や障がい者のいる世帯、病弱者のいる世帯には、絶対に発行しないでください。なお、義務教育修了前の子どもについては、窓口交付だけでなく、郵送も含め1枚も残すことなく保険証を届けてください。
イ.滞納者に対し給付の制限をしないでください。
ウ.保険料(税)を支払う意思があって分納している世帯には正規の保険証を交付してください。万一「短期保険証」を発行する場合でも、有効期限は最低6か月としてください。
エ.保険料(税)を払いきれない加入者の生活実態の把握に努め、加入者の生活実態を無視した保険料(税)の徴収や差押えなど制裁行政をしないでください。また、無保険者の調査を実施してください。
④一部負担金の減免制度については、生活保護基準額の1.4倍以下の世帯に対しても実施してください。また、一部負担金の減免制度を行政や医療機関の窓口にわかりやすい案内ポスター、チラシを置くなど住民に制度を周知してください。
5.障がい者・児施策の拡充について
①障がい福祉サービス・自立支援医療・補装具の利用料負担、施設での食費・水光熱費などの自己負担、市町村が行う地域生活支援事業の利用料負担を、課税世帯を含めてなくしてください。
②訪問系サービス、移動支援の支給時間は、余暇利用を含めて障がい者・児が必要とする時間を支給してください。
③移動支援は、通所・通学にも利用できるようにしてください。
④障がい者の介護保険制度における利用料負担は撤廃してください。当面、障がい者の介護保険にたいし障害者自立支援法の軽減措置と同様に、住民税非課税世帯からの利用料徴収をやめてください。
⑤避難所のバリアフリー化をすすめてください。
⑥集団での避難生活が困難な障がい者・児、特別な介護を含む援助が必要な障がい者・児、高齢者を対象とした、個室対応も可能とする福祉避難所を設置してください。
⑦地域の防災関係者が「災害時要援護者」の情報共有ができるようにするとともに、一定の条件の下に、障がい者団体や支援団体等にも情報を開示してください。また、地域での情報喪失も想定し、福祉圏域間での共有、県との共有を考えてください。
6.健診事業について
①特定健診、がん検診、歯周疾患検診は、年1回無料で受けられるようにしてください。
②40歳未満の住民を対象にした一般健康診査を、年1回無料で受けられるようにしてください。
7.予防接種について
①Hib、小児用肺炎球菌、HPVワクチンの予防接種は無料で受けられるようにしてください。
②高齢者用肺炎球菌、水痘(みずぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、B型肝炎、ロタウィルスワクチンの任意予防接種に助成制度を設けてください。
8.生活保護について
①憲法第25条および生活保護法に基づいて、他の制度を理由に生活保護申請を認めない、あるいは妨害することのないようにしてください。生活保護が必要な人には早急に支給してください。
②就労支援や生活指導を個別にていねいにおこなうために、専門職を含む正規職員を増やしてください。
③弱者の生存権侵害につながりかねない警察官OBの窓口等への配置はやめてください。
【4】国および愛知県・広域連合に、以下の趣旨の意見書・要望書を提出してください。
1.国に対する意見書・要望書
①消費税増税法および社会保障制度改革推進法は撤回してください。また、マイナンバー制度は導入しないでください。
②消えた年金問題を全面解決し、消費税を財源にすることなく全額国庫負担による「最低保障年金制度」をつくってください。その際、すべての高齢者の無年金・低年金の改善に役立つものにしてください。受給資格年限を短縮し、安心してくらせる年金制度を確立してください。年金支給年齢の引き上げは行わないでください。特例水準解消を理由とした2.5%の年金削減は撤回してください。年金の自動削減装置である「マクロ経済スライド」を撤回してください。また、旧社会保険庁職員の分限免職を撤回し、業務に精通した職員を活用し、国民の期待にこたえる年金業務体制としてください。
③後期高齢者医療制度をすみやかに廃止し、元の老人保健制度にもどしてください。医療保険の患者負担を軽減してください。また、国民健康保険の都道府県単位化は行わず、国庫負担を増額してください。
④介護保険への国庫負担を増やして、負担の軽減と給付の改善をすすめてください。介護・福祉労働者の処遇を改善し、働き続けられるようにしてください。生活支援の「45分」への時間短縮を元に戻してください。
⑤子どもの医療費無料制度を18歳年度末まで現物給付(窓口無料)で創設してください。現物給付による子どもの医療費助成に対し国民健康保険の国庫負担金を減額しないでください。妊産婦健診の補助金を拡充し、恒久措置としてください。
⑥東日本大震災で明らかとなった公立病院・公的病院の役割が充分発揮されるよう、病院の統廃合・病床削減をやめて、ペナルティーなしの地域医療再生のための交付金を支出してください。また、地域医療充実につながるような診療報酬改定を行ってください。
⑦障がい者・児が生きるために必要な福祉・医療制度の利用料負担、実費負担を撤廃してください。障がい福祉サービス利用者が、介護保険で要支援と認定された場合、従来の障害福祉サービス利用が大きく制限されることなどから、介護保険制度を優先する仕組みを改め、障がい者本人の必要性に応じて障がい者施策と介護保険制度を選択できるようにしてください。
⑧Hib、小児用肺炎球菌、HPV、高齢者用肺炎球菌、水痘(みずぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の任意予防接種を定期接種としてください。
2.愛知県に対する意見書・要望書
(1)福祉医療制度について
①福祉医療制度(子ども・障がい者・母子家庭等・高齢者医療)を縮小せず、存続・拡充してください。
②子どもの医療費無料制度を18歳年度末まで現物給付(窓口無料)で実施してください。
③障がい者医療の精神障がい者への補助対象を、一般の病気にも広げてください。
④後期高齢者医療対象者のうち住民税非課税世帯の医療費負担を無料にしてください。当面、福祉給付金(後期高齢者福祉医療費給付)制度の対象を拡大してください。
(2)県民の医療を守るために
①後期高齢者医療制度について
ア.後期高齢者医療制度を選択しない65~74歳の障がい者にも、障がい者医療費助成制度を適用してください。
イ.後期高齢者の健康診査事業に県として補助金を出してください。
②国民健康保険への県の補助金を増額してください。
③障害福祉サービス・自立支援医療・補装具の利用料負担、施設での食費・水光熱費などの実費負担、市町村が行う地域生活支援事業の利用料負担を無くす補助制度を創設してください。
④コロニー中央病院を障がい者・児の専門医療機関として拡充してください。また、県東部地域にも同様の医療機関を設けてください。
⑤東海・東南海・南海の三連動地震に対し、県内の災害時医療体制を確立・充実してください。とりわけ、災害拠点病院がその機能を発揮できるように、財政的援助も含め充実してください。
⑥県立病院については、民間病院や他の公立病院との機能分担、役割分担ではなく、県民医療全体に対する役割を堅持し、より一層充実させてください。
⑦厚労省通知「看護師等の『雇用の質』の向上のための取組について」に基づいて看護師等の勤務環境の改善を図るとともに、看護師の大幅増員を図ってください。
3.愛知県後期高齢者医療広域連合に対する意見書・要望書
①愛知県に健康診査事業への補助を行うように要請してください。
②低所得者に対する保険料および一部負担金の独自の減免制度を設けてください。
③保険料滞納者への保険証取り上げ・資格証明書の発行は行わないでください。
④後期高齢者医療制度に関する懇談会の委員に公募枠を設けてください。
以上