2008年9月30日
愛知県知事 神田 真秋 殿
愛知自治体キャラバン実行委員会
代表者 徳田 秋
名古屋市熱田区沢下町9-7
労働会館東館3階301号
介護・福祉・医療など社会保障の施策拡充についての要請書
【趣旨】
医療、福祉、介護、年金など社会保障の連続改悪など構造改革により格差と貧困がいっそう拡大し、国民のいのちと暮らしが脅かされ、介護殺人など悲惨な状況が後を絶ちません。
医療や介護の連続した負担増とあわせ、2008年4月から始まった「高齢者は早く死ね」と言わんばかりの後期高齢者医療制度に対し「廃止せよ」の怒りの声が広がっています。
さらに、施設になかなか入所できず、介護サービスの利用制限など問題山積みの介護保険も来年3回目の見直しが実施されますが、政府は介護保険料の引き上げやサービスの制限を一層すすめようとしています。そのうえ社会保障の財源を消費税増税で賄おうとしています。
私たちは、愛知県および各市町村が医療や福祉の切り捨てや民間委託など自治体リストラをすすめることなく、国の悪政から住民のいのちと健康、くらしを守る砦としての役割をはたしていくために以下の事項について改善を求めます。
【要請事項】
【1】憲法第25条、地方自治法第1条をふまえて、医療・介護・福祉など社会保障施策の充実をすすめてください。
【2】以下の事項を実現し、市町村の福祉施策を充実してください。
1.安心できる介護保障について
(1) 介護保険について
①介護保険料について
ア.2009年度の保険料は引き下げてください。
イ.低所得者に対する保険料の減免制度を実施・拡充してください。とくに、住民税非課税、介護保険料普通徴収の高齢者、無年金者への配慮をつよめてください。
②利用料について
ア.低所得者に対する利用料の減免制度を実施、拡充してください。
③要支援、要介護1の軽度の認定者に対し、訪問介護、福祉用具など必要なサービスを制限なく利用できるようにしてください。とくに、同居家族がいる場合の生活援助や院内介助などの利用を一律に制限しないでください。
④特別養護老人ホームの建設など、施設・在宅サービスの基盤整備を早急に行って、介護サービスが必要な人すべてが利用できるようにしてください。
⑤介護労働者を確保するために、適正な賃金・労働条件および研修について、財政的な支援をしてください。
(2) 高齢者福祉施策の充実について
①配食サービスは、料金を引き上げることなく毎日最低1回の配食を実施し、あわせて、閉じこもりを予防するため会食(ふれあい)方式も含め実施してください。
②高齢者が地域でいきいきと生活するために、以下の施策を実施してください。
ア.地域巡回バスなどの外出支援
イ.宅老所、街角サロンなど高齢者の集まり場への援助など多面的な施策
(3)介護サービス情報公表制度について
①介護サービス情報の調査手数料と公表手数料の事業所負担をなくしてください。
②介護サービス情報公表制度にかかる収支状況を開示してください。
(4)障がい者控除の認定について
①介護保険のすべての要介護認定者を障がい者控除の対象としてください。
②すべての要介護認定者に「障害者控除対象者認定書」または「障害者控除対象者認定申請書」を個別に送付してください。
2.高齢者医療の充実について
①福祉給付金(後期高齢者福祉医療費給付)制度については、ひとり暮らし非課税者を対象とするとともに、70歳からの高齢者についても、対象に加えてください。
②後期高齢者医療制度の保険料滞納者に対する保険証の取り上げ・資格証明書の発行をしないでください。
③後期高齢者医療制度に加入しない65~74歳の障がい者には、障害者医療費助成制度を適用してください。
④人間ドック、温泉など保養施設、文化・スポーツ施設の補助制度・利用割引など国保加入者への保健・福祉施策事業については、後期高齢者にも適用してください。
3.子育て支援について[
①中学校卒業まで医療費無料制度を現物給付(窓口無料)で実施してください。
②妊産婦の無料健診制度は、産前は14回以上、産後は1回以上を無料にしてください。
4.国保の改善について
①国民健康保険への県の助成金を増額してください。
②保険料(税)について
ア.これまで以上に一般会計からの繰り入れをおこない、保険料(税)の引き上げを行わず、減免制度を拡充し、払える保険料にしてください。
イ.就学前の子どもについては、均等割の対象としないでください。
ウ.前年所得が、生活保護基準額の1.3倍以下の世帯に対する減免制度をつくってください。
エ.所得激減による減免要件は、「前年所得が1,000万円以下で、当年の見込所得が500万円以下、かつ前年所得の10分の9以下」にしてください。
③保険料(税)滞納者への対応について
ア.資格証明書の発行をやめてください。とりわけ、義務教育修了前の子どものいる世帯、母子家庭や障がい者のいる世帯、病弱者のいる世帯には、絶対に発行しないでください。
イ.保険料(税)を払いきれない加入者の生活実態の把握に努め、加入者の生活実態を無視した保険料(税)の徴収や差押えなど制裁行政をしないでください。
④65~74歳の保険料(税)の年金天引きは、行わないでください。
⑤一部負担金の減免制度については、生活保護基準額の1.3倍以下の世帯に対しても実施してください。
5.障がい者施策の充実について
①通所施設・在宅サービス利用者の負担軽減措置にある資産要件を撤廃してください。
②補装具の利用料負担軽減とともに、地域生活支援事業の移動支援・日常生活用具・地域活動センターの各利用料を総合した負担軽減策を講じてください。
③第2期障害福祉計画の策定にあたって、地域の障がい者・家族、居宅介護事業者・施設関係者等の実状を十分に聴くとともに、実態にあった住民参加の計画づくりにしてください。
6.健診事業について
①特定健診、がん検診、歯周疾患検診については、自己負担金を無料としてください。また、実施期間は通年とし、個別医療機関委託・集団健診をともに実施してください。
②歯周疾患検診については、年1回無料で受けられるようにしてください。少なくとも40・50・60・70歳の検診は必ず実施してください。
7.地方税の徴収について
①地方税の年金天引きを行わないでください。
【3】国に、以下の趣旨の意見書・要望書を提出してください。
①宙に浮いた年金問題を全面解決し、全額国庫負担による「最低保障年金制度」の創設、受給資格年限を短縮し、安心してくらせる年金制度を確立してください。また、社会保険庁の解体をやめ、民営化は凍結してください。
②後期高齢者医療制度は廃止してください。
③介護保険への国庫負担を増やして、負担の軽減と給付の改善をすすめてください。介護労働者の処遇を改善し、働き続けられるようにしてください。
④子育て支援として就学前までの医療費無料制度の創設と妊産婦の健診制度の補助金を復活・拡充してください。また、現物給付による子どもの医療費助成に対し国民健康保険の国庫負担金を減額しないでください。
⑤消費税の引き上げは行わないでください。
⑥社会保障費自然増分2200億円の削減をやめてください。また、これまでの医療費抑制策で崩壊寸前の医療現場を救うために、国の責任で医師・看護師不足を解消してください。
以上