2009年8月27日
愛知県知事 神田 真秋 殿
愛知自治体キャラバン実行委員会
代表者 徳 田 秋
名古屋市熱田区沢下町9-7
労働会館東館3階301号
介護・福祉・医療など社会保障の施策拡充についての要請書
医療、福祉、介護、年金など社会保障の相次ぐ改悪や派遣切り・リストラなどにより、国民のいのちと暮らしが脅かされています。その結果、生活不安・破綻、家族崩壊などが増加し、自殺、介護殺人など悲惨な状況が後を絶ちません。
医療や介護の連続した負担増とあわせ、「姨捨て山の制度」といわれた後期高齢者医療制度も2年目に入りましたが「廃止せよ」の怒りの声はいっそう広がっています。
さらに、施設になかなか入所できず、介護サービスの利用制限など問題山積みの介護保険も4月からのさらに新たな要介護認定基準の導入で利用者の不安が広がっています。
私たちは、各市町村が医療や福祉の切り捨てや民間委託など自治体リストラをすすめることなく、国の悪政から住民のいのちと健康、くらしを守る砦としての役割をはたしていくために以下の事項について改善をお願いします。
【1】自治体の基本的あり方について
①憲法第25条、地方自治法第1条をふまえて、医療・介護・福祉など社会保障施策の充実をすすめてください。
②各種の臨時交付金などは時限措置でなく、恒久的な制度となるよう国に要望してください。また国からの交付がなくなっても、自治体単独で施策を継続できるよう援助してください。
③税滞納世帯への行政サービス制限条例は導入しないでください。
【2】以下の事項を実現し、福祉施策を充実してください。
1.安心できる介護保障について
(1)介護保険について
①低所得者に対する保険料の減免制度を実施してください。とくに、住民税非課税、介護保険料普通徴収の高齢者、無年金者への配慮をつよめてください。
②低所得者に対する利用料の減免制度を実施してください。
③新基準による要介護認定について
ア.10月からの「見直し」による介護認定が4月からの新規の認定者も含めて「利用者不在」の認定にならないように必要な措置を講じてください。
イ. 要介護認定者やその家族・関係者などにわかりやすい説明書を配布してください。
ウ. 認定調査員をはじめ介護サービス従事者に「見直し」内容の研修・説明会をおこない現場の混乱がおきないようにしてください。
④特別養護老人ホームや小規模多機能施設など施設・在宅サービスの基盤整備を早急におこなってください。基盤設備が円滑にすすみ、低所得者や医療依存度の高い利用者の入所が確保できるよう助成制度を設けてください。
⑤介護労働者を確保するために、適正な賃金・労働条件および研修について、財政的な支援をしてください。
(2) 高齢者福祉施策の充実について
①配食サービスは、料金を引き上げることなく毎日最低1回の配食を実施し、あわせて閉じこもりを予防するため会食(ふれあい)方式も含め実施してください。
②高齢者が地域でいきいきと生活するために、以下の施策を一般財源で実施してください。
ア. 宅老所、街角サロンなどの高齢者の集まりの場への援助など多面的な施策の拡充
イ. 外出支援のため区内巡回バスの充実
(3) 介護サービス情報公表制度について
①介護サービス情報の調査手数料と公表手数料の事業所負担をなくしてください。
②介護サービス情報公表制度にかかる収支状況を開示してください。
(4) 障がい者控除の認定について
①介護保険のすべての要介護認定者を障がい者控除の対象としてください。
②すべての要介護認定者に「障害者控除対象者認定書」または「障害者控除対象者認定申請書」を個別に送付してください。
2.高齢者医療などの充実について
①後期高齢者医療対象者の医療費負担を無料にしてください。少なくとも、非課税世帯は医療費負担が無料となるように、後期高齢者福祉医療費給付制度の対象を拡大してください。
②70歳から74歳の高齢者が2割負担になった場合、1割分を助成して、自己負担を1割負担に据え置いてください。
③後期高齢者医療制度の保険料滞納者に対する保険証の取り上げ・資格証明書の発行をしないでください。
④後期高齢者医療制度に加入しない65~74歳の障がい者には、障害者医療費助成制度を適用してください。
⑤肺炎球菌ワクチンの接種費用の助成制度を設けてください。
3.子育て支援について
①中学校卒業まで医療費無料制度を現物給付(窓口無料)で実施してください。
②妊産婦健診は、産前14回、産後1回を無料で受けられるように助成してください。超音波検査は、厚労省通知に示されているように、最低4回を年齢制限なしに助成してください。
③ヒブワクチンの任意予防接種の費用を助成する制度を設けてください。
④就学援助制度の対象を生活保護基準の少なくても1.3倍以下の世帯までとしてください。また、申請の受付は、学校だけでなく市町村の窓口でも受け付けてください。
4.国保の改善について
①国民健康保険の県への助成金を増額してください。
②保険料(税)について
ア.これまで以上に一般会計からの繰り入れをおこない、保険料(税)の引き上げを行わず、減免制度を拡充し、払える保険料にしてください。
イ.少子化対策として就学前の子どもについては、均等割の対象としないでください。
ウ.前年所得が生活保護基準額の1.3倍以下の世帯に対する減免制度を設けてください。
エ.所得激減による減免要件は、「前年所得が1,000万円以下で、当年の見込所得が500万円以下、かつ前年所得の10分の9以下」にしてください。
③保険料(税)滞納者への対応について
ア.資格証明書の発行をやめてください。とりわけ、18歳の年度末までの子どものいる世帯、母子家庭や障がい者のいる世帯、病弱者のいる世帯には、絶対に発行しないでください。なお、義務教育終了前の子どもについては、窓口交付だけでなく、郵送も含め1枚も残すことなく保険証を届けてください。
イ.保険料(税)を支払う意思があって分納している世帯には、正規の保険証を交付してください。
ウ.保険料(税)を払いきれない加入者の生活実態の把握に努め、加入者の生活実態を無視した保険料(税)の徴収や差押えなど制裁行政をしないでください。
④一部負担金の減免制度については、生活保護基準額の1.3倍以下の世帯に対しても実施してください。また、一部負担金の減免制度の案内チラシ・申請書などは、行政窓口および医療機関の窓口におくなど、制度を広く住民に周知してください。
5.障がい者施策の充実について
①障がい福祉サービス、自立支援医療、補装具の利用料負担、施設での食費などの負担を軽減する助成制度を設けてください。
②市町村が行っている地域生活支援事業(移動支援・地域活動支援センター・日常生活用具等)への助成制度を設けてください。
③親亡き後の障がい者の生活を守るために、ケアホーム・グループホームの建設・設置費補助、運営費補助を行ってください。
6.健診事業について
①特定健診、がん検診、歯周疾患検診の自己負担金を無料としてください。また、実施期間は通年とし、個別医療機関委託・集団健診をともに実施してください。
②40歳未満の住民を対象に健康診査を自己負担無料で実施してください。
③歯周疾患検診を毎年無料で受けられるようにしてください。
7.生活保護について
①憲法25条および生活保護法に基づいて、生活保護申請を認めない或いは妨害することのないようにしてください。また、保護が必要な人には早急に支給してください。
②愛知県通知(2008年12月11日)に基づき、稼働能力や居住地のないことを理由に生活保護申請を拒否することのないようにしてください。
③そのために、専門職を含む正規職員を早急に増やしてください。
【3】国および広域連合に、以下の趣旨の意見書・要望書を提出してください。
1.国に対する意見書・要望書
①宙に浮いた年金問題を全面解決し、全額国庫負担による「最低保障年金制度」の創設、受給資格年限を短縮し、安心してくらせる年金制度を確立してください。また、社会保険庁の解体をやめ、民営化は凍結してください。
②後期高齢者医療制度は廃止してください。国民健康保険への国庫負担を増額し
③介護保険への国庫負担を増やして、負担の軽減と給付の改善をすすめてください。介護認定基準を元に戻してください。介護労働者の処遇を改善し、働き続けられるようにしてください。
④義務教育終了までの医療費無料制度を創設してください。現物給付による子どもの医療費助成に対し国民健康保険の国庫負担金を減額しないでください。妊産婦健診の補助金を拡充してください。
⑤消費税の引き上げは行わないでください。
⑥社会保障費2200億円の削減方針を撤回してください。また、これまでの医療費抑制策で崩壊寸前の医療現場を救うために、国の責任で医師・看護師不足を解消してください。
⑦障害者自立支援法を早急に廃止し、障害者総合福祉法を制定してください。
⑧介護保険サービス利用者とされている、65歳以上の障害者および40歳以上の16特定疾病該当者のうち障害として認定されているものに対して、介護保険を優先適用するのではなく障害者施策を優先適用してください。
2.愛知県後期高齢者医療広域連合に対する意見書・要望書
①低所得者に対する独自の保険料および一部負担金の減免制度を設けてください。
②保険料滞納者への保険証取り上げ・資格証明書の発行は行わないでください。
③後期高齢者の意志が十分反映できる制度的保障として、後期高齢者の代表を含む後期高齢者医療制度運営協議会(仮称)を設置してください。
以上