愛知社保協は、2011年1月19日付で愛知県知事立候補予定者に国民健康保険の都道府県単位化についてのアンケートを行った。
1月31日現在、4人から回答が寄せられたので掲載する。(回答到着順)
質問.国民健康保険の都道府県単位化について
国が今年の通常国会に提出予定の後期高齢者医療にかかわる新たな制度に関係して、国民健康保険についても現在の市町村毎の国保から都道府県単位に変えていく方向が出されています。
都道府県単位化について私どもは、国の財政負担を大幅に増やさない限り、都道府県単位にかえても、県民の負担が増え、国保の改善にはならないと思いますが、いかがお考えですか。
大村秀章 氏
国民健康保険制度は医療の国民皆保険の要であり、国民の医療へのフリーアクセスを保証する重要な制度です。従って、私は国会議員時代に厚生労働副大臣や衆議院厚生労働委員会筆頭理事などの職責を通じて国民健康保険の財政の安定化に努めてきたところです。
そうした観点からすれば、国の財政負担の裏打ちがなく、単に市町村単位から都道府県単位に変えることだけでは、何ら国保の財政の健全化につながるものではなく極めて問題が多いものと考えます。
みその慎一郎 氏
現在の市町村を保険者とする国民健康保険制度が、財政的に限界に達していることは明らかです。民間被用者や公務員に比べて、高齢者、低所得者の多い国民健保は負担、給付双方で不利な実態にあり、国において公費投入による公平で統一的な健康保険制度への全体改革を前提にして、都道府県単位での運営に切り替えて国民皆保険の基盤をしっかり再構築することは必要と思います。
どい敏彦 氏
多くの市町村では住民の国民健康保険税(料)負担を軽減するために一般会計からの繰り入れを行っていますが、広域化によって一般会計からの繰り入れをしない制度にする予定です。繰入をなくせば、医療費の増加が保険料の値上げに直結し、国民健康保険税(料)がいっそう値上げになることは明らかです。
広域化の理由として、「安定的な財政運営ができる規模」が必要とされていますが、一般会計からの繰り入れを除けば、ほとんどの市町村が赤字であり、財政難の国保を寄せ集めても財政が改善する見込みはありません。広域化が国民健康保険税(料)値上げと給付抑制の押し付け、減免や納付相談などのきめ細かな対応ができなくなる、住民の声が届かない組織運営につながることなども後期高齢者医療制度の「広域連合」で明らかです。
低所得者の方の多くが加入する国民健康保険は手厚い国庫負担なしには成り立ちません。国は国保財政への国庫支出金の割合を1980年代の約50%から約24%に半減させてきました。これを是正して国庫負担を計画的に復元していくと同時に、高すぎる国保税(料)をだれもが払える水準に引き上げていくことが求められます。国庫負担を元に戻して国保を立て直すことこそが求められていると思います。
重徳和彦 氏
多くの市町村において、国民健康保険の財政負担が重荷になっていますが、その保険者を都道府県単位に広域化する動きについては、むしろ、国の財政負担を地方(都道府県)に押しつけるものとなるのでは、と懸念せざるを得ません。
国民皆保険を守る役割を果たす国民健康保険は「いのちを守る」重要な仕組みであり、財政負担を含め、国が責任ある対応をすべきと考えております。
薬師寺みちよ氏からは回答がなかった。