社保協ニュース : No.169– 2018.7.1

2018年度(第38期)総会を開催

9条改憲NO! 戦争法廃止! 「社会保障の切り捨て」反対! 安倍政権の暴走阻止と平和を守り、社会保障再生めざす方針を確認

愛知社保協の2018年度・第38期総会が6月23日(土)、愛知県保険医協会伏見会議室で開催され、30の団体・地域から64人が参加しました(ほかに委任状10通)。

総会は、小松事務局長から憲法を生かした安全・安心の医療・介護・社会保障充実の取り組みなどを報告、各団体・地域の討論に続き、方針案・予算案が採択されました。記念講演は、しんぶん赤旗記者の内藤真己子氏が「介護保険を考える ~記者として介護家族として」と題して講演。大阪で老々介護の両親二人を東京から遠距離で支えた一人娘。年金や蓄えも十分あると考えていたが、2000年の介護保険実施後の社会保障改悪で、月額40万ある年金でも介護費用がまかなえず、貯蓄をとりくずし続け、老後の保障は、「アベ政治を変えるしかない」というお話に、総会参加者は、社保協の取り組みをさらにひろげ強める決意を固めることとなりました。総会の最後には、「安倍政治NO! 国の責任で社会保障の拡充を」求める決議を確認しました。


森谷議長開会あいさつ(要旨)

記念講演を聞いて、やはり、安倍内閣には、早く退陣をしてもらわないといけないと、ますます切実な問題と感じました。

6月は南北首脳会談、米朝会談など、歴史的には平和の道に進みつつある中で、安倍首相は会談前には圧力や制裁を性懲りもなく言っていた。会談後は、アメリカで日朝会談を。また、これから朝鮮半島の非核化、平和解決に向かおうという今、高額の米国の兵器を買うと約束する。平和的解決に進むのなら兵器はいらないのに何のために買うのか。本当にアメリカ追随、恥ずかしい首相を持っていると国際的にも世界に知らせてしまっている。
国内でもモリカケ疑惑など、行政を私物化し、国民のことを考えるのではなく、自分たちの私物化だけをしていることが明らかになってきていると思いますが、働き方改革やカジノ法案を通すためだと、会期延長など立法府を自らの都合の良いようにしているという事で、安倍内閣を早く退陣に追い込まなければいけない。6月15日に骨太方針が閣議決定され、財政の健全化を言いつつ、結局は消費税増税を来年10月にすると。社会保障が国の財政を悪化させていると目の敵にして攻撃をしている。国民の負担をますます大きくする方向での骨太方針ということで、なんとしても私たち社保協は、憲法9条と25条を守り、国民が平和的に暮らしていける社会保障を実現していきたいという事を申し上げて挨拶とさせていただきます。

記念講演(要旨)「介護保険を考える~記者として介護家族として」
内藤真己子氏(しんぶん赤旗 記者)

<夫婦2人、年金40万でも大赤字>

今日のお話は、「介護体験を通じて介護保険の改悪を考えてみる」という企画です。
私は、ひとりっ子で、遅く生まれた子どもです。母は大正6年生まれ、戦前、師範学校を出て「命は皇道よりも軽し」と教え子を戦場に送り出し、その反省から「教え子を再び戦場に送らない」と活動しました。父は、大正13年生まれで、貧農の長男で、尋常小学校を出てすぐ大阪の電気問屋に丁稚奉公に出され、戦後は神戸製鋼の下請け工場などで働きました。母の年金が高かったので、夫婦2人で40万を超える年金があり、父母の老後の生活は安泰だろうと思っておりました。ところが、何をかいわんやという事態になっていきます。
介護保険が始まる直前の1998年、81歳となった母が社協ヘルパーを利用開始。介護保険が2000年から始まった後も、娘と同年代のヘルパーの訪問で、引きこもりがちな生活でもヘルパーの訪問とおしゃべりで、東京で記者をする娘が帰れずとも寂しさを感じずに生活。ヘルパーさんに来てもらって「本当によかった」と思いました。
2006年頃、老々介護をしていた父が倒れ、病院への送迎をすることが難しくなり、主治医の薦めもあって、マイホームから賃貸マンションへ転居。介護保険の改悪もあり、年金では、赤字かギリギリの状況になりました。この頃、「介護サービスを利用する人ほど悪化する」という日医総研の唯一のエビデンスを元に介護時間が短縮されました。この改悪は、実際は、データを捻じ曲げ、改ざんしてまで押し通していて、いくらなんでも、そこまでするかなと当初は信じられませんでした。
2009年、父の入院を機に、介護休暇を取得しました。職場の理解も得られ、当初3カ月の予定だった休暇を2か月延長することができましたが、介護離職が、こういう時に起こり得ることを感じました。この介護休暇中に母親を自宅で介護することとなり、いきなり親の介護に直面した時に、子どもやその家族が、すごいストレスを感じるのだと、虐待が年間2万人と言われているが、起きて当然だと感じました。
2005年10月からのホテルコスト導入で介護施設の自己負担額が激増し赤字が増大。2009年の要介護認定改悪で自費増大、東京-大阪の遠距離介護もあり、介護のための持ち出しは、1000万を超過。
2012年に母の死去で、父の年金だけになり、さらに赤字が膨らみます。その後、サ高住に父を入居させることで、父の生活は、安定していますが、急変時対応や災害時などサ高住の課題などに気が付きました。
<老後の保障は、安倍政治を変えるしかない!>
今年の10月から実施される生活援助の多数回利用制限の問題があり、父親の利用回数も基準を上回っていて、父のケアマネさんからも「どうしましょうか」と相談されていて、必要な回数を利用するのは当然とケアマネさんを励ましている。抑制されてしまう不安と、どう闘うか楽しみ半々であるとお話しされていました。
両親の介護で親の資産や自身の貯金も含め千数百万以上取り崩しているが、老後の保障はアベ政治を変えるしかない。安倍内閣が続く限り、「老後破産」「介護離職」は、ますます深刻になる。社会保障分野での共同を広げ、「市民と野党の共同」で安倍内閣打倒へ力をあわせましょう。と講演をしめくくりました。
(小見出しは編集部付記)

討論から(各団体・地域の報告)
愛知県生活と健康を守る会連合会(浅田さん)

昨年、豊橋や半田で生活保護費の過誤払いの扱いについて問題になりました。
自治体が受給者に対して行った返還請求を豊橋市では、撤回させることができた。その背景となった東京地裁の判決について紹介したい。この判決の要旨は、過誤払いを戻すには条件があり、ひとつは、過誤払いを是正させることで、生活水準を下げてはいけない。もう一つは、過誤払いは利用者に全く落ち度のない話で、行政が間違った計算をしたことに起因しているのに、突然、受給者を犯罪者のような取り扱いをして、返せと請求するのは筋違いで、間違いが起こったことについて行政も責任を取るべきなのに一方的に責任を押し付けるのは社会通念上許されず著しく不公正だという判決でした。生健会等で粘りつよく自治体と交渉して撤回させるなどの取り組みをしたが、過誤払い返還の事例は、他の市町村でもあると考えられるので、泣き寝入りしている方もあるかもしれない。この東京地裁判決について広く知らせていく必要がある。

全医労(長尾さん)

国のすすめる地域医療構想について産業連関表に基づく他産業への影響について資料を作成しました。皆さんのお手元に、総会資料とは別とじで配布しています。わたしは、この地域医療構想は、「ダメ構想」だと思っています。こんなことをすすめていったら日本の医療はどうなってしまうのか、中身について是非知っていただきたい。日本全国で1兆4800億円の医療費削減効果につながるということだが、総務省が出している産業連関を使って試算すると、全産業へ2兆4800億円もの波及効果。愛知県内では、1230億円の波及効果となります。医療費削減の話をすると、民商や農民連の方から「医療は大変ですね」という反応でしたが、そうではなく、他の産業への影響もかなり大きいということです。

名古屋市職労(磯村さん)

名古屋市は、この春、介護保険の認定事務を民間委託し市内1か所に集約化しました。名古屋市職労は、大幅な人員削減となることから、昨年、委託化反対に取り組みましたが、4月から実施されました。介護保険認定事務が2カ月も3カ月も遅れ、6月現在、その収拾のめどすら立たず、さらに混乱に拍車がかかる様相となっています。委託化反対の運動時には、想定もしなかった決定遅延という事態に、一番迷惑をこうむっているのは利用者です。こうした委託を推し進めた名古屋市は、行政責任を放棄していると言わざるを得ないと思います。はやく是正されるよう、運動を進めていきたいと思います。

愛知医労連(幸島さん)

愛知医労連は、この2年間、看護師介護士の夜勤改善に取り組み、国会議員要請にも力を入れてきた。取り組みの中で、立憲民主党や国民民主党の議員が新たに紹介議員になりました。夜勤改善と大幅増員の運動を行う中で、看護師の労働実態調査を行い、調査結果について記者会見も行い、メ~テレや中日新聞でも大きくとりあげられました。介護セミナーやヘルパーセミナーを行い、とかく社会的地位が低く見られがちな介護職を励ましてきました。愛知医労連は、毎年3桁の増勢を勝ち取っていますが、求められる水準の組織化には程遠い実態です。社保協のみなさんと引き続き頑張っていきたいと思います。

年金者組合(伊藤さん)

後期高齢者になっても本人負担が2割のままにしようという医療制度の改悪が、狙われています。全国的にも各地で大きな集会が取り組まれていますが、愛知でも後期高齢者2割負担に反対する運動を強めていきたいと思います。

小松事務局長のまとめ

発言者は5人。名古屋の介護の認定の問題、後期高齢者の2割負担の問題は、急ぎ対策をとって運動を進めていきたい。本日の参加は30団体64人。代議員定数66人中50人の出席と10人の委任状の提出と欠席が4人という状況で、総会が成立していることを報告。事務局長のまとめの後、経過報告と方針、新役員体制、決議を確認しました。

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