社保協ニュース : No.156 – 2015.7.6

2015年度(第35期)総会を開催

「戦争法案」の廃案、社会保障の連続改悪をやめさせ改善求める方針を確認

201507047-1愛知社保協は、7月4日(土)名古屋市民会館会議室で2015年度第35期総会を開催し、18団体・3地域から65人(代議員51人・委任状20人)が参加しました。

記念講演は立教大学教授・浅井春夫さんが「子どもの貧困と改善の課題」と題して行われ、総会議事は小松事務局長が活動報告と方針案・会計報告と予算案、役員の確認を提案、各団体・地域からの活動報告・交流をおこない、新年度の方針案・予算案を確立しました。

また、「安倍内閣の『戦争できる国づくり』反対 社会保障の連続改悪を止め改善を求める決議」を参加者全員で確認しました。


森谷議長開会あいさつ(要旨)

20150704-2愛知社保協は、2014年度も社会保障の後退を許さず、その拡充を求めて各加入団体とともに自治体キャラバンや各課題など多彩な活動を行ってきました。

今、日本は社会保障、人権、平和の問題など重大な局面となっています。

憲法25条、9条の精神が形骸化されようとしています。戦後70年、先の大戦にて日本人300万、アジアの人々2000万人の犠牲と反省の上に築かれてきた平和国家としての日本を根底から覆し、また生存権としての社会保障の理念を大きくゆがめ、自立・自助と自己責任の下におこうとしています。

「社会保障と税の一体改革」と「社会保障の充実」との名目で引き上げられた消費税ですが、「社会保障充実」に使われたのは増収分の1%にすぎず、その後の動きは充実どころか社会保障の後退であり、それに反して大企業減税であります。2015年度予算では社会保障費は31兆円台ですが、介護報酬引き下げ(マイナス1130億円)、年金「マクロ経済スライド」発動、生活保護費削減などで約4000億円が削減されました。それに比べて防衛費は3年連続増額で5兆円に迫るというものでした。

さて、昨年6月の「医療・介護総合法」、本年4月の介護報酬の改定、5月の「医療保険制度関連法」の成立により、さらに利用者負担は増加し、事業所は減収と、国の責任をどんどん放棄しようとしています。医療・介護・予防・住まい・生活支援を包括的に確保していくという「地域包括ケアシステム」といいながら、その取り組みは地方自治体、地域に丸投げしようとしています。

そして今最も差し迫っているのは平和の問題です。安倍内閣は昨年の集団的自衛権行使を容認し、今国会に日本の安全保障政策を根底から覆す「安全保障関連法案」を提出し議論に付されています。多くの憲法学者が憲法違反と指摘し、世論調査でも多くの多くの国民が反対し、声をあげ、抗議行動を行っています。それにもかかわらず政府・与党は国会会期を延長して、この15日にも強行採決しようとしています。

私たち社保協はこうした今まで築いてきた平和国家としての日本を戦争できる国に変えようとする、生存権の上に立った社会保障を有名無実化しようとする動きに対して憲法9条・25条が真に生きる社会にするため、本年もしっかりと運動を進めましょう。


記念講演「子どもの貧困と改善の課題」

立教大学教授・浅井春夫さん

20150706-3浅井さんは「第二次大戦で12万人の戦争孤児が生まれたが、児童養護施設に収されたのは12000人に過ぎず、多くの子どもたちが餓死・栄養失調、虐待など戦争の犠牲者になった。二度と子どもたちに戦争を体験させてはいけない」と決意を語られました。

「日本はいまも子どもたちに対してほとんど関心を払っていない」と指摘。いま日本で起きている家族と子どもの貧困の事例を「虫歯20本になるまで治療に来られず総入れ歯になる子ども」、「弁当を持てずに給食時間に教室を出ていく子ども」などの紹介をされ、所得再分配政策が貧困対策としての機能を果たしていないと述べられました。

そしてイギリスが子どもの貧困根絶を2020年までにと期限を決めて進めていることやフィンランドやアメリカの子ども政策を紹介。私たちがとりくむ方向についても「子どもの貧困対策の4つの矢」(労働生活への連結、経済的保障、食の保障、学習権・進学権の保障)として、具体的なアドバイスを送って下さいました。


討論から(各団体・地域の報告)

一宮社保協(高橋さん)

20150706-4 結成して11年、毎月1回の会議をもち各団体のとりくみ交流をしている。毎月29日には千秋病院玄関前で「年金」「介護」「核兵器」署名行動を続け、自治体キャラバンには昨年は76名が参加した。

課題としては、市への要求に対して要求ごとに課別でないと懇談に応じないことや、新市長が懇談申し入れに応じないなどの問題もある。地域社保協は大切なので、各地でつくっていきましょう。

年金者組合愛知県支部(小室さん)

20150706-5きびしい情勢のなかだが、決して負けてばかりではない。

名古屋市の敬老パスは、市は値上げの計画だったが値上げなしで確認させてきた。名古屋市国保は一宮や安城のように自動減免せよの要求は受けれていないが、2000円の特別減税については個別に通知をさせることができた。後期高齢者医療の保険料軽減の特例が廃止されたことに対して、愛知県広域連合に国への継続を求める意見書を出させる成果を得た。いま県下の各市町村にも意見書採択を働きかけている。

また、年金引き下げに反対して裁判を開始した。愛知ではいま212人が提訴した。全国では3000人を超す見込みだ。若い人にとっても安心できる年金制度を実現させたい。今後、支える会を発足させるのでご協力をお願いします。

消費税なくす愛知の会(岸野さん)

20150706-6県議会に共産党から鷲野さんと下奥さんが当選した。各団体が県会で取り上げてほしい課題があると思うが、議会での質問時間は限られており議員が充分に理解していないといけない。各団体には議会で取り上げてほしい課題は一つか二つに絞って、わかりやすく伝えてほしいということでお願いしたい。

「消費税をなくす全国の会」のわかりやすいパンフレット(900円)を普及している。消費税は戦争のための財源づくりにもかかわってくる。消費税10%はやめさせましょう。

愛知県医労連(西野さん)

20150706-7看護師の夜勤改善にとりんでいる。愛知はとくに看護師が少なく、全国43位という順位だ。看護師15万人体制の実現求めて、愛知県に意見書を出して実現することができた。

また、介護も職員が不足している。介護の男性職員には「結婚退職」があることを知っていますか。「賃金が低くて家族を養えない」と結婚を契機に退職していくことだ。介護士の賃金改善も実現させたい。ぜひご協力ください。県知事選挙では小松さんを応援して、楽しく取り組めた。県内の仲間との心のつながりを感じることができた。

福祉保育労東海地本(寺坂さん)
20150706-8「社会福祉法等の一部を改正する法律案」が、国会審議に入った。”多額の内部留保を抱えている”という社会福祉法人へのパッシングがされ、ボランティア活動の義務化や退職手当共済への助成の廃止などが盛り込まれている。すでに中区、中村区、東区では他団体への要請活動にとりくんでいる。学習を大切にし、417本の議員要請ファックスも行っている。みんなと手をつなぎ、大きく運動をひろげていきたいと思います。

尾張旭の国保・介護をよくする会(榊原さん)

20150706-9尾張旭では介護の署名運動にとりくんできた。保険料の引き上げに反対すれば利用料にはねかえるのではという意見もあったが、誰もが安心して利用できる介護保険を実現するためには、大幅な国庫負担の増額が必要だと話し合ってきた。

新しく社保協に加入したが引き続き安定した活動を継続していくために体制の強化をはかっていきたい。


小松事務局長のまとめ

20150706-10総会では、「戦争政策と社会保障は両立しない」というスローガンで、私たち社保協も安倍内閣の「戦争できる国づくり」反対の闘いに合流することを確認いただきました。

この夏は戦争法案を廃案にさせるたたかいが正念場です。たたかいの輪を大きく広げ国民の世論で戦争法案を廃案においこみ、秋にはみなさんと一緒に喜びあいましょう。


安倍内閣の「戦争できる国づくり」反対

社会保障の連続改悪を止め改善を求める決議

本日、私たち愛知県社会保障推進協議会は、わが国の政治が2つの面で、大きな危機に立たされる中で、第35期総会を開催しました。

第1は、安倍内閣が、「集団的自衛権の行使」を現行憲法の下で解釈によって容認し、同盟国アメリカと一緒に「戦争できる国」に突っ走ろうとしていることです。そのため国会の会期を憲政史上最長の95日間、9月27日まで延長し、「安全保障関連法案」=「戦争法案」を今国会で強引に成立させようとしています。

第2は、安倍内閣が、「世界で一番企業が自由に活動できる国をめざす」と、大企業優遇の経済政策=アベノミクスによって、消費税増税と社会保障改悪を連続して押し進めていることです。今国会でも医療保険大改悪に続き、社会福祉法人に公益事業として「無料・低額サービス」を担わせ、国・自治体の福祉実施の責任を押し付ける、社会福祉法改悪法案の強行を狙っています。

さらに6月30日閣議決定した「骨太の方針2015」により、2016年から3年間を社会保障費抑制集中期間として、毎年3千億円から5千億円の削減計画を年末までに固めるとしています。後期高齢者医療の1割負担を2割に、受診時定額負担(保険免責制)導入などが遡上しています。医療費削減を言うなら。削るべきは製薬大企業や医療機器産業のボロ儲けです。

プライマリーバランスを口実とした社会保障費抑制ですが、狙いは法人税減税と戦争政策推進の財源づくりです。削るべきは軍事費とムダな大型公共事業、増やすべきは儲かっている大企業の法人所得税です。また2017年4月に「経済条項」を外して消費税10%への引き上げが行われようとしていますが、そのあとはどんどん消費税増税を進めることができます。

2日発表の厚労省「2014国民生活基礎調査」では、生活が「苦しい」とした世帯は前年比2.5ポイント増の62.4%で、過去最多となっています。1世帯当たり平均所得は前年比1.5%減で、ピークの1994年の8割程度です。アベノミクスと消費税増税および社会保障改悪によって格差は拡大し、今や6割以上の人が生活が苦しいと言っています。

私たちは、2013年生活保護と年金の引き下げ反対、2014介護保険からの軽介護者締め出しなどの介護保険改悪反対、2015年患者・国民負担増の医療保険改悪反対と、連続する社会保障改悪に反対する運動に立ち上がってきました。そして運動は今生保・年金では裁判闘争へ、介護・医療では自治体への要請運動に引き継ぎ、大きな流れをつくっています。過激な「ブライマリーバランス」口実の社会保障費削減。 法人税減税と戦争政策のための財源作りとしか思えません。

本日私たちは総会を開き、さらに覆いかぶさろうとする社会保障の連続改悪を食い止めるためには、安倍内閣の暴走をストップさせることが緊急の課題であることを確認しました。そして「戦争政策と社会保障は両立しない」とのスローガンを掲げ、安倍内閣の「戦争できる国づくり」反対の闘いに合流することを確認しました。

私たちは、安倍内閣の「戦争できる国づくり」に反対し今国会に提出されている「戦争法案」の廃案を求めます。また2015骨太方針による新たな社会保障費抑制の計画づくりを直ちに中止し、国と大企業の責任と負担でこれまで改悪してきた社会保障を元に戻しさらに改善することを求めます。

以上決議する。

2015年7月4日 愛知県社会保障推進協議会第35回総会

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